騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「ビアンカ……っ!!」
けれど、無くなった扉の向こう。現れたのは、騎士団の制服を身に纏ったルーカスだった。
「ル、ルーカス……?」
まさか、扉が吹き飛んだのは彼のせいなのか。
驚くビアンカの思いなど露知らず、息を切らしている彼はビアンカの無事を確認してからホッと安堵の息を吐いた。
「ルーカス……」
安心したのはビアンカも同じだ。
ルーカスの姿を視界に捕えた瞬間、思わず涙が零れそうになった。
「……ビアンカ、そこを動くな。すぐ助ける」
「来たなっ、憎き鴉め……!!」
ルーカスがビアンカに声をかけた直後、男の剣が空を切る。
思わず、「あっ!!」と声を上げたビアンカだが、黒に包まれたしなやかな体躯は、それをヒラリと交わすと自身もサーベルへと手を掛けた。
「ドアを蹴破るとは、随分荒いご登場だな」
「……貴様が、ビアンカを攫ったのか」
美しく光る、白銀の剣。
短く息を吐いたルーカスは、ゆっくりとそれを引き抜き男を睨んだ。
「ああ、そうだ。俺がお前の妃を攫った。お前があと少し遅ければ……俺はこの女を、殺していたところだ」
ニヤリと、怪しく笑った男。
この男の言う通り、ルーカスの登場があと一歩遅ければ、ビアンカの命はなかっただろう。
「惜しかったな。あと少しで、お前の絶望に濡れた顔が見れると思ったのによ」
不敵に笑う男は真っ直ぐに、剣の矛先をルーカスへと向けている。