騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
 


「貴様は……アストンの、元将軍だな」


──アストン。聞き覚えのある国の名に、思わずビアンカは目を見開いた。

 
「ああ、そうだ。覚えていたのか。俺達の国のことなんか、スッカリ忘れていると思ったよ」


アストン──それは、ビアンカの祖国、ノーザンブルの隣国の名だ。

ビアンカがセントリューズに嫁ぐ前、ノーザンブルに攻め入ろうとしていた国であり、ルーカス率いる騎士団に軍を撃滅された国でもある。


「我が騎士団に負けた男が、今更なんの用だ」

「ハハッ、なんの用? もちろん、お前に復讐をしに来たのさ! 俺の全てを奪ったお前を、この手で殺すためにな!!」


高笑いをしながら男は、一歩、ルーカスににじり寄る。

けれどルーカスは相変わらず、微動だにせず男の様子を伺うだけだ。


「ノーザンブルを滅ぼせば、俺はノーザンブルの第一王女を妻に迎えることをアストンの王から約束されていた。そして俺の地位は絶対的なものになり、何不自由ない暮らしができると思っていたのに……」


ノーザンブルの第一王女を妻に。それはつまり、ビアンカを妻にするつもりだったということか。

まさか、そんな話まであったとは……今更ながら、恐ろしい。

 
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