騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
 


「今こそ、復讐が果たされる時……!!」

「……お喋りな男だ」

「な……っ!? うぐ……っ!!」


キン――ッ!! ぶつかる剣と剣。

全ては、ほんの一瞬の出来事だった。

上から振り下ろされた男の剣を意図も簡単に自身の剣で弾いたルーカスが、しなやかな一振りで男の身体を斬り付けたのだ。


「貴様の汚い血で、俺の妃を汚すわけにはいかないからな。貴様がビアンカから離れるのを待っていた」

「ぐ、ぐ……うゔっ」

「力任せに振るわれる剣ほど、憐れなものはない」


悲痛な呻き声が部屋の中に木霊して、男が崩れ落ちるようにその場に倒れる。

たった、一振りで男を斬り伏せたルーカスの剣は、瞬きをしてしまえば見えないような、実に見事な一太刀だった。


「ゔ、ゔぅ……っ、チクショウ……っ」


床に倒れた男の手から、剣が離れる。

ルーカスはそれを拾って部屋の隅へと投げると、痛みに顔を歪める男を静かに見下ろした。


「貴様は俺の、逆鱗に触れた」

「ぐ、ゔ……っ」

「覚悟は、できているな」


言いながらルーカスは、空で血振りをしてからもう一度、剣を構えた。

男はこのままではルーカスに殺されてしまう。

それを知らせるように小さく光る、セントリューズの王家の紋章。

ルーカスの手に握られた剣に彫られた紋章が、何故だか何か大切なことを訴えているような気がして──ビアンカは衝動的に、ルーカスに向かって駆け出した。

 
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