騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「私がいなくなったというのは……誰から聞いたの?」
「お前に仕えている侍女だ。お前の姿が見当たらない、俺と一緒にいるのだと思っていたと言われて、本当に焦った」
そっと、目を細めたルーカスはビアンカの髪を優しく撫でた。
アンナが、ルーカスに知らせてくれたのか。
ビアンカは、あとでアンナにもお礼を言わなければと思ったが、こっ酷く怒られるのが目に浮かび、つい頭を悩ませた。
「晩餐会が始まる前だったので、本当に良かった。オリヴァーへの報告は、出来ぬまま動いてしまったが……」
──晩餐会。
けれど次の瞬間、ルーカスの口から出た言葉に、ビアンカの肩が大きく揺れた。
そうだ、そうだった。今日は、晩餐会だったのだ。
近隣諸国の王たちを招いた、大切な催事だったのに。
ドレスはホコリまみれだし、髪は酷く乱れているし、身体も痛い。
何より今が何日の何時なのか……自分がどれくらい監禁されていたのかも、わからなかった。
こんなに大切な日に攫われるなんて、最悪も最悪だ。
時間が巻き戻せるなら、フラフラと王宮内を歩いていた自分を殴ってでも連れ戻したい。
「ご、ごめんなさい、ルーカス……! 私、大切な時に、こんなことになっちゃって……晩餐会は、もちろんもう終わってしまったのよね……?」
目に涙を滲ませながら尋ねると、ルーカスは首を左右に振った。
「いや、晩餐会はまだ行われているだろう。ビアンカの行方がわからないと知って、俺はすぐに騎士団の元に戻ったが……晩餐会自体は、予定通りオリヴァーが仕切って進めているはずだ」
思いもよらない言葉に、ビアンカはつい、安堵の息を吐いた。
まさかまだ、晩餐会の最中だとは思わなかった。
そう考えるとビアンカが攫われてから、そう時間も経っていないのだ。
ここに閉じ込められてから、一時間か二時間か……とりあえず、晩餐会自体は滞りなく開かれているのだと聞きホッとした。
近隣諸国の王たちには、晩餐会にも顔を出さない不躾な王弟と、王弟妃だと思われてしまったかもしれないけれど。
とにもかくにも、ここを出たらすぐにでも、オリヴァーには謝りに行かなければいけないだろう。