騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「側近を捕まえて、今回の黒い陰謀の全てを吐かせたのだ」
「黒い、陰謀……?」
「ああ。……しかし、たったそれだけのことに、ここまで時間が掛かるとは……火炙りにでもしてやれば簡単に吐いただろうに」
さも、当たり前のことのように言ってのけるルーカスに、ビアンカはつい、背筋を凍らせる。
証拠集めだとか側近だとか、黒い陰謀だとか……。
ビアンカには全く理解できないことばかりだ。
けれど、ルーカスが騎士団長としては容赦のない人なのだということだけは、よくわかった。
冷酷無情、やはり、これがルーカスの表の顔だ。
「あとはこの男に詳細を吐かせれば、全てが終わる」
ルーカスの言葉に、倒れている男の指先がピクリと動いた。
咄嗟に剣を構えたジェドだが、ルーカスは視線だけでそれを制すとビアンカの肩を抱いたまま、一歩、前に出た。
「……先程から寝たふりか? 俺の妃が頼み込むので、命だけは取らずにおいてやったが……。貴様に全てを、洗いざらい吐かせることには変わりない」
ゆっくりと。男に向かって歩きだしたルーカスは、床に伏せた男を悠々と見下ろしていた。
漆黒に揺れる影。サラリと揺らめく前髪が、彼の目元に影を作る。
「晩餐会の行われる今日は、王宮の警備を二倍以上にしていた。それはビアンカを守るため、万が一にも貴様のような者が紛れ込まないようにだ。それなのに今、貴様がここにいるということは──王宮内に、貴様の侵入を手引した者がいるということに、他ならない」
やはり、ルーカスもビアンカと同じことを思っていたのだ。
優秀な王立騎士団が守る王宮に、男のような者が入り込めるはずがない。
普段ですら、王宮内に外部の者が侵入するのは難しいというのに。
それが今日という日に限って賊が忍び込むなど、考えられない。
その上、王宮内でも奥深い、この屋根裏部屋を監禁場所に選んだとなると──宮内でも顔の効く、誰かが男を、ここまで引き入れたとしか思えない。