騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「……ビアンカ王女。お前は何故、俺を助けた」
「え……?」
「俺があんたにしたことを思えば、先程、この男に殺されていても、おかしくはない」
「何……?」
男の言葉に、ルーカスが一歩、前に出た。
ビアンカが慌てて腕を掴むと、なんとか踏み止まってくれたが、ルーカスは忌々しそうに男のことを睨みつけた。
「わ、私は……ただ、」
「中途半端な甘さは時に、取り返しのつかない危機を呼ぶ。今回は、鴉の助けが間に合ったから良いものを……俺みたいな奴を殺さずにいたら、いつかまた必ず、お前たちの命を奪いに現れるぞ」
真っ直ぐにビアンカを射抜く目には、いくつもの現実を見てきただろう男の、強い意志が滲んでいた。
……確かに、この男の言う通りなのかもしれない。
戦場に立てば、やるかやられるか。そんな命のやり取りを、当たり前のことのようにしなくてはならないのだ。
だけど……それでも。たとえそうだとしても、ビアンカは見過ごすことなどできなかった。
今、目の前にいる男の命も自分の命も。誰の命も、本来なら皆平等だから。
罪は罪。そして、罪には罰だと決まっている。
けれど、その罰は死だけがすべてではないのだ。
罪は、生きながらにして償わなければ意味がない。
男が死んだからといって、そこから何かが生まれるわけではないのだから。