騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「……負の連鎖は、戦で尊い命の火が消えれば消えるほど、増えていくものよ」
「何……?」
「地位も名誉も。人の命に比べたら、取るに足らないものだわ」
逞しいルーカスの腕の中、ビアンカが口を開くと男はそっと目を細めた。
男の言うとおり、きっとビアンカの考えは甘いのだろう。
自分たちの命が惜しいのならば、ここで男の言うとおり、男を生かしておいてはいけないのかもしれない。
……それでも、
「私は、死ぬのが怖い。だけど、人の命を奪うのは、それ以上に怖いと思っただけ」
ビアンカが力強く言い放つと、男が大きく目を見開いた。
──何かに怯えて正しいことを正しいと言えない自分には、なりたくない。
(私は私の思うままに。ルーカスの隣で堂々と胸を張っていたいから)
「それに、あなたは私が甘いと言ったけど……」
「…………」
「きっと、あなたよりも私のほうが、何倍も厳しいわ」
「何……?」
「だって、簡単に死んでしまうよりも、生きて罪を償う方が、きっと何倍も辛いもの。あなたはこれから、自分が犯した間違いを死ぬまで償いながら、悔い改め、そして精一杯生きるのよ」
ビアンカの言葉に、今度こそ男が押し黙った。
再びルーカスの腰元で、キラリと光る王家の紋章。
気高く、高貴なその紋章はいつだって、正しく生きろと私たちに告げている。
胸を張り、顔を上げ。自分の信念に真っ直ぐでいることを願っているのだ。