騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「今までお前にも事実を隠していて、すまなかった。俺の事情に、ビアンカを巻き込むことを危惧していたんだ」
ルーカスの大きな手がビアンカの頬を優しく撫でる。その手のぬくもりを感じながら、ビアンカはそっと、彼の手に自分の手を重ねた。
「……私、ね」
「ああ」
「実は以前、王太后陛下に無礼な言動と態度をとってしまったことがあって……だからもしかしたら、それが原因で、今回命を狙われたんじゃないか……なんてことも、考えたの」
ぽつり、と。零した言葉にルーカスが眉根を寄せる。そういえばあの時も、ルーカスが助けてくれたのだ。
あの時はなんとか、その場は丸く収まったものの……自分に真っ向から立ち向かってきたビアンカを、王太后は決して良くは思わなかったはず。
「あの程度のことで命まで狙われるのかと思ったら……少し、怖いなとは思うけど」
苦笑いを零すと、ルーカスがフッと息を零して笑った。呆れたような、どこか安心したような表情だ。
その笑顔にビアンカは、つい首を傾げてしまう。
「まぁ、それも理由の一つと考えられなくはないが……。お前が今回狙われたのは、もっと別の理由だ」
「別の理由……?」
思いもよらない言葉に、彼の綺麗な黒い瞳をジッと見つめた。
自分が狙われた、別の理由。一体自分はいつ、王太后の恨みを買ってしまったのか。
知らず知らずのうちに彼女を怒らせていたとなると、それはそれで問題だろう。