騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「……実は、オリヴァーには男色の気があってな」
「へぇ……オリヴァー陛下が男色の…………って、え……ええっ!?」
突然、とんでもないことを言い出したルーカスを前に、ビアンカは後ろにひっくり返りそうになりながら大きな声を上げてしまった。だって、男色って。
それってつまり、オリヴァー陛下は、そういうご趣向があるということで……。
「オリヴァーは、女を愛せないらしい。だから自分が子を望むことは難しいのだと……以前、一度、言われたことがある」
「で、でもオリヴァー陛下には、奥様がいるのよね……?」
「ああ。表向きは病気の療養のために祖国に帰っていることになってはいるが……。実際は、あまりにオリヴァーがツレナイので、ビアンカがセントリューズに来るより少し前に、心を病んで祖国に帰ってしまったんだ」
……衝撃だ。衝撃以外の、何者でもない。
もしかしたら、王太后が今回の事件の黒幕であったことよりも衝撃の事実かもしれない。
ビアンカは以前アンナに聞いた通りに、オリヴァー国王陛下のご正妃はお身体の具合が悪いのだいうことを信じ込んでいた。
それがまさか、実際はそんな事情だったとは。
(オリヴァー国王陛下が男色……。あの、オリヴァー国王陛下が…………)
「それでも王太后陛下は諦め切れず、オリヴァーに妾妃を与えようと、必死だった」
「妾妃を……」
「ああ。そんな時、俺がお前を妻に迎えたんだ。ビアンカ、その時、王太后がどう思ったか……お前にも、わかるだろう?」
ルーカスの問いに、ビアンカは真っ白になりかけている頭の中で必死に答えを探した。
第一王子であり、現セントリューズ国王陛下であるオリヴァー。
そのオリヴァーに子ができなければ跡を継ぐものがいない。
そうなると自然と第二王子に王権は動き、オリヴァー亡きあと、セントリューズの国王となるのはルーカスであり、彼の子ということになる。