騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「挙句、俺がお前を毎夜抱き潰していると聞いたら……王太后も胸中、穏やかではいられなかっただろう。俺が王位を狙っているのだと、勘繰ってもおかしくはない」
淡々と、ルーカスが真面目な口調で話すものだから、ビアンカはツッコむこともできなかった。
自分がルーカスに毎夜、抱き潰されていることを、王太后にまで知られているなど恥でしかない。
「お陰で、思ったよりも早く、動いてくれた」
けれど、言いながら口角を上げたルーカスは、少しも悪びれる様子はなかった。
それどころか面白そうに目を細めた彼を前に、ビアンカの脳裏にはある推測が過ってしまう。
「前宰相アーサーは以前から、騎士団の実権を握ろうと目論んでいた。今回も、俺を亡きものにしたあとは、アーサーの息子が新騎士団の実権を握るよう、王太后に約束されていたらしいが……」
それも、先程ルーカスとジェドが話していたことだ。
前宰相アーサーの息子が、ルーカス亡きあとの騎士団長の椅子を約束されている、と。
「情報だけは随分前から掴んでいたものの、中々尻尾を出さないので、こちらも動きあぐねいていたんだ」
言いながら、ふっと目を細めたルーカス。
彼は、随分前から王太后と前宰相アーサーの動向を見張っていたということか。
それはきっと、ビアンカを妻に迎えるよりもずっと前から……。内側にいる敵に、彼と彼の率いる騎士団は注意を払っていたということだ。