騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「だが、これで邪魔なものは全て、取り払える」
──だとしたら、やはり。そのためにルーカスは毎夜、ビアンカを抱き潰したのか。
自分たちの邪魔をする、厄介な存在を取り払うために。
このままでは近い内に、ルーカスに王位継承権を持つ子ができてしまうと王太后を焦らせ、彼女が強硬手段に出るように仕向けたのだ。
王太后がビアンカを恨んだのもそのせいだとすれば……。
彼女はビアンカが、ルーカスと共に王位継承権を狙っているとでも考えたのかもしれない。
「案外早く、こちらが蒔いた餌に食いついてくれた」
これはあくまでビアンカの推測に過ぎないけれど──いや、きっと。
ルーカスの口ぶりからして間違いなく、わざと噂を流して王太后をけしかけたのだ。
「そ、そのために私を、あんなに毎晩毎晩、抱き潰したの……?」
呆然としながら尋ねるビアンカを前に、ルーカスは再び悪びれる様子もなくフッと口角を上げて笑った。
「そうだと言ったら、どうする?」
不敵に笑う彼は表情とは裏腹に、優しくビアンカの身体を引き寄せる。
まるで、イタズラが成功して喜んでいる子供のようだ。ルーカスはこんな顔も、できるのか。
初めて見る彼の表情に、トクンと心臓が飛び跳ねたビアンカだが胸中は穏やかではいられない。