騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
 

「さ、最低だわ……。一体、私のことをなんだと思っているの……? お陰で私は、周りから好機の目で見られた挙句、毎朝腰が痛くて痛くて大変だったのに……」


アンナにも馬鹿にされるし、ルーカスだって影では獣と言われる始末だ。


「よ、夜だって、全然寝れなかったし……っ。手加減もしてくれないから、気が付いたら朝になっている日もあるし……か、身体のあちこちにキスマークはついてるし……」


お陰で、湯浴みの時に侍女たちに身体を見られ、噂は更に拍車をかけて広がっていった。

だけどもし、その全てが策略だったとするならば……最初からそう言ってくれたら良かったのにと思ってしまう。

ビアンカはてっきり、自分がルーカスに愛されているのだと──ルーカスが自分に夢中になってくれているのかもしれないなんて、アンナに言われてからは少しだけ、期待していた。

それが実は、アーサーと王太后を誘き出すための罠だったのかと思うと……なんだか凄く、悲しい。


「……悪いな、加減ができなくて」


素直に謝られてしまうと、余計に虚しさで胸が痛んだ。

ルーカスは自分を抱いている時にも、常に今回のことを頭に置いていたのかと思うと女として情けない。

……真実を知りたかったのは本当だけれど、こんなことは知らなくても良かった。

何も知らず、ただただ、彼に愛されているのだと勘違いしていたほうが何倍もマシだった。

 
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