騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
 


「……だからって、少しくらい、私に顔を見せてくれてもいいじゃない」


けれど、頭ではわかっていても心が追いついてくれない部分があった。

ビアンカはこの一週間、ルーカスに一度も会えていない。

ルーカスとは晩餐会後に部屋に送り届けてもらってから一度も会っていないのだ。

ジェドを使いに出すくらいなら、自分が会いに来れば良いのに……と、ビアンカがヤサグレるのも無理はない。

セントリューズに嫁いでから初めて一人で寝るベッドは心細くて、初日は柄にもなく枕に顔を埋めて泣いてしまった。

……ルーカスに、会いたい。自分はこんなにも弱かったのかと情けなくもなる。

たった一週間。
されどあまりにも長く感じる時間に、ビアンカの心はスッカリと落ち込み、ささくれだっていた。


「……ルーカスの、バカ」


ぽつりと呟くと、また涙が零れそうになる。

そのタイミングでサイドテーブルに置かれたカップの中には、ビアンカの大好物である濃いめのミルクティーが淹れられた。

 
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