騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
 


「お前の気持ちを知ってしまった以上、お前に少しでも触れてしまえば、もう歯止めが効かないからな」


……ずっと、歯止めなんて効いてなかったくせに。

喉の奥まで出掛けた言葉を飲み込んで、ビアンカは続く言葉を待っていた。


「ビアンカ、今すぐお前に触れたい」


甘く、囁かれたのは誘惑の言葉。


「ビアンカ……お前を、この手で抱きたいんだ」

「……っ」

「可愛いお前を、一晩中啼かせ、堪能したい」

「……ズルいっ」

「ズルくても、なんでもいい。もう限界だったから仕事を切り上げて会いに来た。俺はお前が考えている以上に、お前に溺れている」


限界なのは、ビアンカも同じだった。

ずっと待ちわびていた彼からそんなことを言われて──いつまでも意地を張っていられるはずがない。


「わ、私の方こそ……ルーカスに会えなくて、寂しかった……」


そっと、シーツから顔を出したビアンカは、薄っすらと涙の滲んだ目でルーカスを見上げた。

そうすれば、ふっと優しく微笑む彼の手に、壁となるシーツを剥がれてしまう。


「あ……っ」

「バカを言え。俺の方が、ビアンカよりもずっと、お前に会いたかった」

「嘘……」

「嘘じゃないと、わかるだろう。俺がお前をどれだけ愛しているか──ビアンカはもう、その身を持って、理解しているはずだ」


言いながら、ベッドの上に広がるビアンカの髪を指先で掬ったルーカスが、愛おしむように口付けた。

……ルーカスの気持ちは、嫌というほどわかっているつもり。

ビアンカに触れる彼の手は、今日も変わらず温かい。いつだって彼の言葉は、真っ直ぐだから──。

 
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