騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
 


「それで、聞きたいこととはなんだ」


けれど、「手短に頼む」と続けた彼は、大して待つ気もないらしい。


「ま、前に、私たちが初めて会ったときのこと、話したでしょう?」

「……ああ」

「それで、その時ルーカスは、私たちが何か"約束"をしたと言ったわよね? 薔薇を綺麗に咲かせるということ以外で、何かもっと別のことを……」


ビアンカが尋ねたのは、この一週間、ルーカスの無事を祈りながら考えていたことだった。

大きく花開く、一輪の赤い薔薇。そしてそのそばで、剪定された花を手にしていた幼い頃のルーカスの姿。

汚れた薔薇をルーカスから貰ったビアンカは、あの時彼と、何かを約束したらしい。

そこまでは以前、ルーカスから聞いたのだけれど……あのあとルーカスは、結局それに続く話を教えてはくれなかった。

 
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