騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
 


「お前の気持ちは、わかった。だが、今すぐというのは……先方が、すぐに了承するかどうかは、わからないぞ」


突然こちら側から政略結婚の申し出をされたノーザンブル国王が、大事な娘を二つ返事で嫁に出すとは思えなかった。

いくら相手が自分たちよりも各上のセントリューズであるとはいえ、急ぎと言われて、はいそうですか、よろしくお願いしますと頷けることではない。

女性の婚礼準備にも本来ならそれなりの時間が掛かる。

その上、ルーカスは──他国では"冷酷無情な男"であると、その名が知れ渡っている男だ。

ノーザンブル国王が、そんな男に大事な一人娘である第一王女を嫁がせるかどうか……。


「それに関しては問題ありません」

「……何故、そう言い切れる」

「ノーザンブル国王は、こちらからの政略結婚の申し出を、絶対に断れないからです」


淡々と、表情一つ変えることなく言い切るルーカスに、オリヴァーは疑問を覚えはしたが彼の言葉を疑おうとは思わなかった。

優秀な騎士団を束ねるルーカスは、どんなことにも余念のない男だ。

だからこの政略結婚話にも何か……仕掛けがあるのだろうと聞かずとも察した。


「そうまでして、手に入れたい相手なのか」

「はい」


躊躇なく答えるルーカスの意志は固い。

幼い頃から決めていた……と言った言葉は、嘘ではないらしい。

 
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