騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「……お前の気持ちはよくわかった。だが、ルーカス。それなら何故、今までそれを私に言わなかった」
「…………」
「お前が望むのなら、よほどのことでない限り、相手が誰であれ私は反対などしないよ」
今後こそ呆れたように笑いながら、オリヴァーは椅子の背もたれへと身体を預けて息を零した。
そんな彼を前に、騎士団の黒い制服に身を包んだルーカスはバツが悪そうに眉根を寄せる。
言いたいけど言いたくない……そんな弟の表情が珍しく、オリヴァーは思わず目を見張った。
「……陛下に、ビアンカの存在を知られたくなかったのです」
「私に?」
「彼女はとても美しくて可愛らしく……魅力的なので。たとえ相手が誰であろうと、自分以外の男が彼女に興味を持つことは、我慢なりませんでした」
再びキッパリと言い切ったルーカスは、独占欲の滲んだ目をオリヴァーへと向けていた。
その目の強さとルーカスから放たれる色気に、思わずオリヴァーの背が粟立つ。
滅多に、感情を表に出さない弟が今、執着からくる嫉妬を表情に滲ませている。
オリヴァーは、それだけで弟が想いを寄せる彼女──ノーザンブル王国第一王女、ビアンカ・レイヴァに興味が湧いた。
元より弟には良い伴侶を……と考えていたオリヴァーが、ルーカスのこの申し出を、断る理由もないのだが。