騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「は、花祭りとは……春の妖精を送り出し、夏の太陽を迎えるための祭りです」
「夏の太陽を……」
「昼は街のあちこちで出店が出たり、人々が踊ったり……夜になると花を手にした人々が、輝く星の下で愛を語り合います」
「素敵……」
ほぅ……と甘い溜め息を吐いたビアンカは、美しいヘーゼルの瞳をそっと細めた。
"花祭り"。
花好きのビアンカからするとその祭りは名前だけでも魅力的で、更に内容まで彼女の心をくすぐった。
「更に、花祭りの夜は"星夜"と呼ばれ、恋人たちは仮面をつけて街を歩く風習がありまして……」
「仮面? それは、仮面舞踏会……みたいな仮面?」
「はい。相手の顔は見えずとも、愛する二人は自然と惹かれ合うものなのだ……という、意味合いから始まったことのようです。ですが、今では、老若男女問わず、ほとんどの人間が星夜につけるアクセサリーとして仮面をつけて歩きます」
"相手の顔はみえずとも、愛する二人は自然と惹かれ合うものなのだ"
なんとロマンティックな考えなのだろうかと、ビアンカは再び、甘い溜め息を零した。