騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
(……今頃は、疲れて寝ているかしら)
朝方、ビアンカの身体をギュッと抱き締め「いってくる」と唇にキスをくれた彼の温もりを思い出す。
「すぐに帰ってくるから大人しく待っていろ」と言ったルーカスは騎士団の黒いロングコートを羽織り、颯爽と回廊を歩いて行った。
一人残された、広い部屋の中。ルーカスのいないベッドはやけに広く感じてしまって落ち着かない。
毎夜、ビアンカを抱き締めて眠るルーカスは、僅かな隙間さえ惜しいとばかりにビアンカの身体を自身の腕の中へと閉じ込めるのだ。
彼と過ごす、熱い夜。甘い吐息はビアンカの身体の芯を震わせて、彼女の身体に愛しさばかりを募らせた。
「……ルーカスに、会いたい」
今朝、会ったばかりなのに。会えないのはたった一日なのに、ルーカスの温もりが恋しい。
王太后と前宰相アーサーの謀反が起きたあとも一週間ほど彼と会えない日が続いたが、それから一ヶ月が経った今でもルーカスの多忙は続いたままだった。
そもそもルーカスと結婚してからというもの、ゆっくりと二人きりの時間を過ごせた日は一日もない。
第二王子兼王立騎士団長という立場の彼は、国王オリヴァーよりも多忙だった。