騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「お前を悲しませるような奴は、この俺が容赦なく処理するがな」
冗談には聞こえない冗談だ。
ルーカスなら間違いなく実行するだろう。花を奪った程度でルーカスに出てこられたら、相手の方に同情したくなってしまう。
「そうなる前に、私が相手を倒すわ」
「どうやって?」
「うーん……。やっぱり、ジェドさんに剣技を習おうかしら?」
冗談めかしてビアンカが首を傾げると、ルーカスの眉間にシワが寄った。
マズイ……と思っても、もう遅い。
ルーカスは自分がジェドをビアンカの護衛に任命しておきながら、ジェドに対して時々対抗心を燃やすのだ。
「二人きりの時に、他の男の名前など出すな」
「で、でも……相手は、ジェドさんだし」
「誰であろうと、だ。お前は俺のことだけを考えていればいいんだ」
ビアンカの腰を強く引き寄せ、彼女を腕の中へと閉じ込めたルーカスは、長い指で彼女の弱いところをなぞった。
思わずビアンカが声を漏らして身体を震わせると、ルーカスの目に獰猛な男の色が浮かび上がる。
「あ……明日も、朝早いんでしょう?」
「今日、仕事を全て片付けたお陰で明日は一日空きそうだ。だから今日と明日は……ゆっくり、ビアンカとの時間を過ごせるだろう」
その言葉に、ビアンカは思わず目を見開いた。
ルーカスと結婚してから約三ヶ月。彼と一日中、ずっと一緒にいられる日など一日たりともなかったのに。