騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
 


大国セントリューズという後ろ盾を得ることで、他国からの侵略を阻止できる。

国を、国民を守ることができるのだから。

セントリューズからご指名を受けたのは、ノーザンブル王国の第一王女であるビアンカ・レイヴァ。

どうして、ビアンカであったのかはわからない。

それでもセントリューズ国王オリヴァーは直々に、ビアンカを指名したのだ。

けれど……ここで、問題が一つ。

肝心のビアンカは昔から、"結婚するなら花好きの優しい人"と口にして、譲らなかった。

大切な政略結婚だ。ビアンカの乙女の夢だかなんだか、そんな、わけのわからないことで破断にはできない。

だからこそ、今の今までアンナも国王も、ビアンカにはルーカスの正体を隠し通してきたのだ。

それこそビアンカにバレないように、王宮内に仕える者たち全員に緘口令まで出して──。


「ア、アンナのことも、お父様のことも、信じてたのに……っ!! 花好きの優しい人との結婚だって、信じてたのにぃ……っ!! うわーんっ」


流石に、ここまで泣かれると共犯者であるアンナの胸も痛む。


「ハァ……わかりました」


アンナは心の中で国王に謝りながらも、観念したように一つ、溜め息を吐いた。

 

< 28 / 224 >

この作品をシェア

pagetop