騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「これ以上、ビアンカ様に嘘を吐きたくはないので、私から全てをお話させていただきます」
「全てを、話す……?」
「私の知るルーカス様に関わること全て、です。国境を越えて伝わってきていた──セントリューズ王立騎士団、騎士団長ルーカス・スチュアート様の、全てを」
ゆっくりと、「覚悟は良いか」とでも言いたげな口調で紡がれた言葉に、ビアンカは思わずゴクリと喉を鳴らした。
ルーカスの、正体。騎士団長を務めているということ以外に、まだ何か大きな隠しごとでもあるというのだろうか。
「ビアンカ様の夫となられたルーカス様は、他国にもその名が轟くほどの剣の使い手であると聞きます。過去には、一個小隊で敵一個大隊を撃滅させるほどの戦でも、一切手傷を負わずに帰還されたことがあるとか」
「戦で、一切の手傷を負わずに……?」
そういえばオリヴァーも、ルーカスの剣の腕はこの国一だと言っていた。
今のアンナの話だと、この国一どころか、大陸一の可能性も否定できない。