騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
(本当に……この世のものとは思えないほど、綺麗な人)
ビアンカは、ただただ、ルーカスの美しさに見惚れていた。
「そんなところにいつまでも突っ立っていたら、身体が冷えてしまうだろう」
「……え」
「ただでさえ、肌が透けて見える格好をしているというのに──」
「……っ!!」
視線だけで身体を撫でたルーカスの言葉に、ビアンカは思わず顔を赤く染めた。
確かに、季節は春といっても夜は冷える。
それでも今日、こんなに布の少ないネグリジェを着せられたことには理由があった。
もちろんそれは、このあとルーカスに脱がされることを想定した上での、女官たちの気遣いで──。
「あ、あの……」
「これを、肩にかけていろ」
「え……」
「少しは、マシになるだろう」
と、ビアンカの心配を他所に投げられたのは扉横のサイドテーブルに置かれていた、薄手のストールだった。
ビアンカは危なげなくそれをキャッチすると、目を丸くしてルーカスを見つめた。
(わ、私が寒いと思って……?)
思わず、手の中のストールとルーカスを交互に見る。
相変わらず感情の読めないルーカスは、視線を斜め下に落とすと一度だけ小さく息を吐いた。
……もしかして、ルーカスは思ったよりも優しい人なのかもしれない。