騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「ねぐらから引き上げたあと、真っ直ぐにここまで来たのだが、それでもこんな時間に──」
「ひ、酷い……」
「うん?」
「ち、小さな子どもがいるねぐらを、焼き払うなんて……!! 相手はいくら山賊でも、そんなの酷すぎる……っ!!」
気が付くとビアンカは、ルーカスに向かって叫んでいた。
目には涙が滲んで、息が上がる。
夫の職務に妻が口を出すなど言語道断だ。
それでもどうしても、ビアンカは自分を抑えることができなかった。
「……待て。酷いとは、どういうことだ」
「どういうこと……? そんなことも、わからないの? 自分のしたことが、どれだけ罪深いことか……」
ビアンカの言葉に、ルーカスがあからさまに眉根を寄せる。
訝しげに細められた目に一瞬怯みそうになったけれど、ビアンカは恐怖を精一杯押し込めて、ルーカスへと詰め寄った。