騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「な、なんなの……!?」
「……変わっていなくて、安心とした」
ビアンカの身体はルーカスにしっかりと抱き抱えられ、逞しい身体に引き寄せられている。
そのまま、ゆっくりと歩きだしたルーカスは慈しむようにビアンカをベッドの上へと下ろすと、驚くほど穏やかな笑みを浮かべた。
柔らかなシーツの感触を背中に感じながら、ビアンカは呆気に取られてしまって少しも彼から目を逸らすことができない。
たった今の今まで声を荒げていたのに──彼の笑顔を前にしたら、息をするのもやっとだ。
「……やっと、俺の手の中に迎えることができた」
「……っ」
「ずっと……お前をこの手に抱きたいと、思っていた」
──今、目の前にいる男は本当に、ルーカスなのだろうか。
冷酷無情、黒翼の騎士団長。誰もが恐れるルーカス・スチュアート本人なのかと疑いたくなるほど、今、ビアンカを見つめる彼の目は、優しい。
「婚儀の時に、気持ちを抑え込むことは難儀だった」
熱く、滾るような熱の篭った瞳。黒髪がサラリと揺れて、彼の纏う薔薇の香りが鼻先を掠める。