騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
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「本日から団長より、ビアンカ様の護衛兼案内役を申し付けられました、ジェドと申します」
朝食を済ませ、全ての支度を終えたころ、ビアンカの部屋の扉が叩かれた。
現れたのは昨日見た、ルーカスと同じ黒い軍服を着た青年だ。
年は、二十二であるルーカスの少し上か、同じくらいか。
背の高さはルーカスと、ほとんど変わらない。
グレーがかったブロンドの髪とグリーンの瞳が印象的で、彼もまた顔立ちはよく、整っていた。
「忙しい団長に代わり、ビアンカ様の身をお守りいたします。なんなりと、お申し付けください」
胸に手を当て、うやうやしく頭を下げられビアンカは返す言葉を失った。
──ルーカスに代わって、自分の身を守ってくれる人。
彼の言葉が本当なら、やはり、昨日の夜に言われた『俺がお前を守る』という言葉は嘘だったのだ。
「ビアンカ様?」
「……っ、ご、ごめんなさい。少し、ボーッとしてしまって」
自分を見て不思議そうに首を傾げたジェドを前に、ビアンカは慌てて続く言葉を探した。
「えぇと、あの……ジェド、さん? ジェドさんは、ルーカスと同じ黒翼の騎士だ──いえ、王立騎士団に所属しているの?」
わかりきったことを尋ねると、ジェドは誇らしげに「はい!」と元気な返事をくれた。
ルーカスよりも筋肉質で、大きな身体。ガッシリとした身体つきの割に笑顔は可愛らしく、思わずビアンカの顔が綻んでしまう。