騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
 


「……なんだか、今更ドキドキしてきたわ」


思い起こすのは遠い春──これから自分の夫となる男、ルーカスとはじめて顔を合わせた時のこと。

父親であるノーザンブル国王に連れられて、晩餐会に参加するためセントリューズを訪れたビアンカが、まだ六歳になったばかりの頃の話だ。

まさか当時は、自分が将来セントリューズに嫁ぐことになるなど思いもしなかったけれど。

晩餐会が始まる前、時間を持て余したビアンカは、侍女たちの目を盗んで一人、王宮内の庭園へと足を運んだ。

広大な庭園には色とりどりの花が咲き誇り、まるで美しい絵画を見ているようだった。

中心には大理石で作られた、大きな噴水が鎮座していたこともハッキリと覚えている。

 
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