騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
 


「だからですね……! あの、なんというか……団長の正妃がビアンカ様で、自分はとても嬉しくて──」

「──あら、ビアンカ王女。それに……えぇと、誰だったかしら。そんなところで二人で、何をしているの?」


その時、不意にジェドの言葉を遮って、背後から声がかけられた。

ビアンカが弾かれたように振り向くと、昨日挨拶を交わした王太后──ルーカスの母と、前宰相アーサーが立っていた。

豪華なドレスと装飾品を身に纏い、後ろに侍女を二人従わせている姿は煌びやかで、何よりとても品がある。


「こ、王太后陛下……! それに、アーサー様も……! いらっしゃるとは気が付かず……大変、失礼いたしました……!」


ジェドが焦った様子で、二人の前に膝をついた。

ビアンカもドレスの裾を持ち上げると、精一杯品よく頭を下げる。


「ジェド、王太后殿は貴様に、ここで何をしていると聞いているのだ」


棘のある口調で言い放ったのは王太后のすぐ後ろに控えていた前宰相のアーサーだ。

でっぷりと前に突き出したお腹と、ツルンと輝く頭が印象的なセントリューズの古株の一人。


「も、申し訳ありません……! 今、ルーカス様の命で、ビアンカ様に王宮内の案内をしていたところなのです」

「王宮内を……?」

「はい。少しでも早く、ビアンカ様が王宮での暮らしに慣れるように、と……」


続けられたジェドの言葉に、王太后が驚いたように片眉を持ち上げた。

 
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