騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
 


「ビアンカ王女も、遥々こちらへと嫁いでいらしたのに、お気の毒ね。相手がアレじゃあ……幸せになど、なれはしないわ」

「なんといっても、烏の親分ですからなぁ!」


アーサーと一緒に笑う王太后の瞳の色は青光っていて、栗色の髪はルーカスの兄であるオリヴァーとよく似ていた。

そういえば昨日も、ビアンカは同じことを思ったのだ。

現国王であるオリヴァーは、王太后と顔立ちもよく似ている。

だとしたらルーカスは……今は亡き、先代国王に、似ているのだろうか。

(自分と似ていない子よりも、似ている子の方が可愛いとでも、王太后様は思っているの?)


「何かあればすぐに、祖国へお戻りなさい。それがビアンカ王女にとって、一番の幸せかもしれないわ」


──だけど、たとえそうだとしても。

自分の息子に対して、この言い草は、どうだろう。アーサーとて同じだ。前宰相とはいえ、今はどう考えてもルーカスの方が身分は上のはず。

そんな、国を守る王立騎士団とルーカスに対して、ゴミの処理をする、鴉に似た汚い人間たちと言い放った。

それも今、騎士団の制服を着たジェドを前にして、だ。

二人に対して頭を下げ続けているジェドの表情は見えないけれど、悔しくて堪らないに決まっている。

 
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