騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「なぁ……俺は、そこで何をやっているのかと聞いているんだが」
「も、申し訳ありません……! ビアンカ様は、自分を庇ってくださったのです……! 何より、ルーカス様のことを……。だから……」
立ち上がったジェドは、咄嗟にビアンカを背に隠すようにルーカスの前へ出た。
腕を組み、ピクリと右眉を動かしたルーカスは、射るような目をジェドへと向ける。
「……退け」
「え?」
「俺とビアンカの間に立つなと言っている、死にたいか」
「は……はいっ。申し訳ありません!!」
冷たい声。低く地を這うような声に、ジェドは焦った様子で一歩後ろへと足を引くと、ビアンカの後ろに静かに控えた。
遮るものがなくなったせいで、再びビアンカとルーカスが正面から対峙する。
そのまま……どれくらい、見つめ合っていただろう。
真っ直ぐにビアンカを見るルーカスの目は相変わらず何を考えているのかわからなくて、ビアンカは掛ける言葉が見つからなかった。
「ハァ……行くぞ」
「え……」
と、不意に腕を捕まれ、ビアンカの身体が一歩、前に出る。