騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「どうせなら、この機会にルーカス様のことをもっと良く知ってみたらいかがですか?」
「ルーカスのことを?」
「そうです。ビアンカ様はまだ、ルーカス様のことを良く知らないから、半信半疑で彼の言葉と気持ちを受け止めきれないのでしょう」
「…………」
「本当のルーカス様を知ったら、ビアンカ様の心にも何か大きな変化があるかもしれません。上辺だけの彼ではなく、彼の本来の姿を知ったら……」
アンナの言うことは、不思議と違和感なく胸にストンと落ちてきた。
確かにビアンカは、ルーカスのことを良く知らない。
セントリューズに嫁いで来る前は、花好きの心優しい青年だとばかり思っていたくらいなのだ。
けれど、いざ会ってみると彼は、誰もが恐れる冷酷無情な騎士団長で……。誰も寄せ付けないほどの、圧倒的な麗しい容姿を持つ青年に成長していた。
「……そもそもアンナが最初に、ルーカスの話を私に吹聴して怯えさせたくせに」
「それはもちろん、アンナだってルーカス様の全てを知っていたわけではありませんから」
堂々と開き直るアンナは、ここまで来ると清々しい。
「ですがここに来て、ビアンカ様を通して見たルーカス様の印象は随分と変わりましたよ」
「え……」
「今は、私が仕える大切な主を、私並みに大切にしてくださる方……と、好印象に思っています。だからこそ二人が上手くいけば良いと、アンナは心から思っているのですよ」
ニッコリと微笑んだアンナを前に、ビアンカは再び頬を赤く染めた。