騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
 


「ビアンカ王女?」

「あ……も、申し訳ありません!! 国王陛下はお忙しいのに、くだらないことでお時間をいただいてしまって……」


思い立ったら吉日、と言ったアンナの言葉に乗せられて、ビアンカはアンナと話したあとすぐに、ルーカスの兄であるオリヴァーの元を訪ねた。

国王という立場である彼もまた、ルーカスと同じくかそれ以上に忙しい。

それなのにオリヴァーは、ビアンカのために快く時間を空けてくれたのだ。

けれど、突然訪ねてきた弟の妃が『自分の夫のことを良く知りたい』と言い出したら驚き、何を言っているのだと困惑もするだろう。

言い出しっぺのアンナは国王執務室には入らず扉の向こうに控えているし、今の微妙な空気はビアンカ自身がなんとかするしかない。


「あ、あの……。私、ルーカスのことを何も知らないので。それで、ルーカスのお兄様でもある国王陛下なら、彼のことを色々と良く存じていると思いまして、その……」


自分で言っていて、何を言っているんだとツッコミたくなった。

ルーカスのことを良く知っているかどうかなんて、そんなことを訪ねること自体失礼だ。

血を分けた兄弟なのだから、相手のことを知っていて当然。幼い頃から一緒に、この大きな王宮で育ってきたのに知っているも何もない。

馬鹿なことを聞くなと叱責されて、追い出されても可笑しくないのに。

 
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