騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「ははっ」
「え?」
「ビアンカ王女は面白いなぁ」
萎縮して小さくなっていたビアンカの耳に届いたのは、堪えかねたような笑い声だった。
思わず俯きかけていた顔を上げると、オリヴァーの美しいブルーの瞳と目が合う。
「今の話をルーカスが聞いたら、なんて言うかな」
「あ、あの……」
「もしかしたら、常に冷静沈着な弟が、狼狽える姿でも見れるかな? ああ、それとも、ビアンカ王女と私が二人きりで秘密の話をしたことに嫉妬でもするか……」
再び小さく声を漏らして笑ったオリヴァーは、なんだかとても楽しそうに見えた。
彼が動くたびに揺れる栗色の髪。改めて見ると、やっぱり黒髪・黒い瞳のルーカスとは似ても似つかない。
「国王陛下……あの、」
「ああ、失礼。それで、ルーカスのことを教えてほしいんだったね。具体的には何を知りたいんだ?」
執務机の椅子に腰掛け、長い指を顎の下で組みながらコチラを見る彼の目は、凪いだ海のようだった。
ビアンカはそんな彼の前に立ち竦んだまま、自分がここに来た目的を改めて、整理する。