騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
 


「こんなことを今、ビアンカ王女に話すのは失礼だろうが……。実はビアンカ王女との結婚が決まるより以前にも、何度か、ルーカスには結婚の話は来ていたんだよ」

「え……」

「だけどね、どんなに美しい姫や気品溢れる姫が相手でも、ルーカスは絶対に首を縦に振らなかった。無理に話を勧めるなら、次の戦で命を捨ててくるとまで言い出す頑固っぷりだ」


呆れたように笑いながら渡された言葉に、ビアンカは返す言葉を失った。

けれど、改めて考えてみたら極当然のことなのだろう。

大国・セントリューズの第二王子ともなれば、同等か、それ以上の国のお姫様との婚姻話があっても可笑しくない。

ビアンカの祖国、ノーザンブルは大陸内では下から数えたほうが早い小国だ。

だからこそ、セントリューズから突然の結婚話が来たことに、ビアンカの父である国王は驚いていた。

それにしたって……結婚話を断るルーカスの言葉も、大概だけれど。


「そんな風に、それまでどんな結婚話も頑なに拒絶してきたルーカスが、ある日突然、私の元にやってきたんだ」

「……っ」

「"──後生です、陛下。ノーザンブルの第一王女、ビアンカ・レイヴァとの結婚を申し出たい"……と」


それまで散々、結婚話を突っぱねてきたはずのルーカスが、突然、どうして。


 
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