騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
 


「私としては、何故、ノーザンブルの王女なのだと疑問にも思ったが、弟には早く妃を……と思っていたからね。その上、後生だからとまで言われてしまったら、反対するという選択はなかったよ」

「…………」

「そしてルーカスは、私が結婚を許可し、ノーザンブル国王へと話をつけた直後に思わぬ行動に出た。騎士団の小隊を率いてある国へと向かったんだ」

「い、戦、ですか……?」

「いや、攻め入られようとしていたのは我が国ではない。もちろん、我が国がその国に攻め入る理由もなかったのだが……」

「え……」

「ビアンカ王女とルーカスの結婚が決まったからこそ、攻め入る理由ができたんだ」


その言葉に、ビアンカは以前、アンナから説明されたことを思い出した。

自分たちの政略結婚が急がれた理由。それはノーザンブルが隣国に狙われ、早急に対応する必要があったからだということ。

武力で勝る相手に攻め入られようとしていたところにタイミング良く、今回の結婚話が舞い込んできたのだ。

大国セントリューズが後ろ盾になってくれるなど、国王と祖国にとっては願ったり叶ったり。

そしてセントリューズは何故か、結婚相手に第一王女のビアンカを指名し、譲らなかった。

セントリューズにとっては何一つ、プラスとなることのない結婚のようにも思えたのだが──。


「一個小隊を率いたルーカスは、敵一個大隊をあっという間に撃滅させて帰ってきた」


その、ルーカスが攻め入った国が、ノーザンブルを狙っていた隣国だということは言われなくともわかる。

 
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