騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「俺は、お前を……ビアンカが二度と俺のそばを離れることのできないタイミングを狙って、動いたんだ」
「……っ」
「この先、何が起きようとお前が、俺から離れることのないよう。俺がどんな男かビアンカが知っても──決して、離れられないようにな」
「あ……っ」
言いながら、ビアンカの首筋をなぞったルーカスの手は、氷のように冷たかった。
思わず身をよじれば手首を捕まれ、真っ白なシーツへと縫い付けられる。
「だからもう、お前は俺から逃げられない」
「や……っ、ルーカスっ」
「どんなに抵抗しようが無意味だ。お前の声は、俺の欲を煽るだけだからな」
「……っ」
ルーカスの唇が、ビアンカの首筋へと落とされる。甘い痛みに思わずギュッと目を閉じると、瞼の奥で彼が小さく笑っていた。
ビアンカを手に入れるために、ビアンカの祖国である、ノーザンブルを救ったルーカス。
(本当に、私さえ手に入れば、他のものはどうなっても構わないと思っていたの? 彼は身勝手で傲慢な──冷酷無情な、騎士団長?)
「お前という褒美がなければ、最初から動くつもりなどなかった」
「……嘘、つき」
ビアンカがぽつりと零すと、ビアンカの手首を掴むルーカスの指先が震えた。
「本当は全部……守ってくれたくせに」
「何を言って……」
「きっと貴方は、私が願えば願った全てを守ってくれる。私が、悲しむことのないように。私の心を……守ってくれる」
閉じていた瞼をゆっくりと開くと、ビアンカの目には驚き固まるルーカスの顔が映った。