強引社長といきなり政略結婚!?
「気に入った。結婚しよう」
その男性は、涼しい顔をして言葉を放った。
「……はい?」
今、『結婚しよう』って言った?
……私に?
賑やかだった店内が静寂に包まれる。
いや、そんなはずはない。たった今、常連さんのふたりに結婚は無理だとダメ出しをされたばかりだ。
……あぁ、そうか。私じゃない。私のうしろにいるゆかりちゃんに向けた言葉に違いない。
そう気づいた私が足を一歩横に出してずれると、どういうわけか彼の視線までついてきた。
え? なに? どういうこと?
摩訶不思議なサラリーマンの言動に、私の頭の中は疑問だらけ。瞬きを繰り返していると、彼はもう一度同じ言葉を口にした。
「俺と結婚しよう」
私の斜めうしろに立つゆかりちゃんから「きゃあ」という黄色い声が上がる。