強引社長といきなり政略結婚!?

「詐欺だよ、詐欺」


もしかしたら、この名刺も偽物かもしれない。そんな有名な企業なのだとしたら、社長にしては若すぎる。


「でも、あんな人にだったら騙されてもいいかもー」


ゆかりちゃんがうっとりとした表情で“詐欺師”を見つめる。そして、その場で彼を見たまま動かなくなってしまった。

仕方なしに彼女の分も私が、店内のお客さんへと料理をせっせと運ぶ。

そうこうしていると、食べ終えた“詐欺師”が会計をしようと立ち上がった。
すかさずゆかりちゃんがレジへ立ち、ここぞという笑顔で伝票を受け取ろうと両手を差し出す。
ところが彼ときたら、ゆかりちゃんの手を避けて私のほうへとそれを突き出した。
ゆかりちゃんが残念そうな顔でゆっくりと振り返る。


「汐里さんがいいって」


ほんの少し唇を尖らせ、彼女が言った。

誰がレジを担当したっていいじゃないか。
つい反発心がもたげる。
眉間にざっくりと皺を寄せて不快感を示してみても、彼のほうは気にする様子もない。

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