強引社長といきなり政略結婚!?
朝比奈さんは迷うことなく足を進め、エレベーターに乗り込んだ。
音ひとつしない静かな空間。綺麗に磨かれた扉に、ぼんやりと私たちが映り込む。エリート社長と、落ちぶれたお嬢様のツーショットだった。
到着した五階をひたすら奥へと突き進む。
朝比奈さんに案内されて入った部屋は、大きな鏡がやけに存在をアピールしたこじんまりとしたところだった。控室だろうか。
「とりあえず先にこれに着替えようか」
朝比奈さんが右側にあったカーテンを引くと、小さなスペースが現れる。
「中に入って」
彼に言われるままカーテンの向こうへ行くと、紙袋を手渡された。
「俺は外で待ってるから」
「あ、はい……」
ドアが閉まったのを確認してから、カーテンを閉じる。
紙袋にそーっと手を入れると、中からワインレッドのワンピースとベージュのボレロが出てきた。