強引社長といきなり政略結婚!?

ワンピースはジョーゼットシフォン製で、胸元にビジューが施された華やかなものだ。
しばらく手でかざし、ぼうっと見つめてしまった。

――いけない。朝比奈さんが待っているんだった。
そこで思い出したように着ていた服を脱ぎ、袖を通す。

数年前までは、こういったドレスを着て、父に連れられてパーティーへ行ったものだ。
社交場は初めてじゃないけれど、久しぶりのせいか気分が引き締まる。

用意されていたパンプスを履き、カーテンを開けた。
その刹那、息を呑む。


「――日下部さん!?」


思いも寄らない人がそこに立っていた。
不機嫌そうに腕を組み、私が現れた途端、眉をピクリと動かす。


「どうして日下部さんがここに?」

「社長の朝比奈に頼まれて、やむなくです」


淡々と答える。
私が知りたいのは、そういうことじゃない。
朝比奈さんは日下部さんの上司だから、なにかを要請されることがあるのはわかる。日下部さんが、私の着替えとどう関係があるのかが知りたいのだ。

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