強引社長といきなり政略結婚!?

自分でも薄々そうじゃないかと思っていたからだ。
日下部さんは鏡越しに私をチラッと見てから、すぐに手元に視線を落とした。


「日下部さん、私のこと嫌いでしょ」


鏡の中で彼と目が合う。
強い眼差しに負けるもんかと踏ん張った。


「好きも嫌いもありません。私はただ、会社の発展を願うのみです」


日下部さんが涼しい顔をして平然と言う。感情はひとつも読み取れなかった。

それからはお互いに口をつぐみ、重く静かな空気が流れる中、ヘアセットとメイクが施されていく。
そして完成したのは、ルーズに編み込みされたハープアップと、華やかなパーティーメイクだった。

日下部さんが招き入れたのか、朝比奈さんが鏡に映り込んだ。ダークグレーのスリーピースに薄いブルーのシャツ。胸元にはポケットチーフが顔を覗かせている

普段のスーツとは少し違うフォーマルな装いに、思わず目が釘づけになる。あまりに素敵でボーっとしてしまった。

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