強引社長といきなり政略結婚!?
「立ってみて」
朝比奈さんに言われて我に返る。
差し出された手を掴み、立ち上がった。
「思ったとおりだ。よく似合ってる」
私の両肩に手を置き、にっこり笑う朝比奈さんの顔が鏡に映った。
「日下部、どう思う?」
朝比奈さんが後片づけをしている日下部さんに声をかける。
すると彼は、「……私の感想を聞くまでもないと思います」と、私を一瞥してすぐに片づけに戻った。
「日下部も似合ってるってさ」
そうは言ってない。どちらかと言えば、“どうでもいい”だろう。私に一切の興味がないという顔だ。
朝比奈さんは、日下部さんがいるというのに恥ずかし気もなく私の額にキスをひとつ落とし、「行こう」と手を取った。
私が横目で盗み見た日下部さんは、ひどく冷たい目をしていた。
朝比奈さんにエスコートされ、控室を出る。