強引社長といきなり政略結婚!?
◇◇◇
その日から一週間、何事もなく平穏無事に毎日が過ぎていった。
『また来るよ』と言っていた“変人”も、あれから木陰には来ていない。
ゆかりちゃんは今か今かと心待ちにしていたようだけれど、私のほうは変なことに巻き込まれずにホッとしている。
真偽のほどは掴めていないものの、いくら大企業の社長とはいえ、いくらイケメンとはいえ、初対面でプロポーズするような人間なのだ。信じていいはずがない。
きっとあれは、金持ちのきまぐれ。単なる道楽。
そうだったんだろう。
アルバイトを終え、そんなことを考えながら店の外に出た時だった。もう二度と会うこともないだろうと思っていた、例の“詐欺師”がにこやかな表情で立っていたのだ。
ギョッとして足を止める。
「お疲れさま」
「お、お疲れさまじゃないです。いったいなんなんですか!?」
バッグを胸に抱え、後ずさる。
「なにって、また来るって言っただろう。それとも一週間空いたから心配したか。それなら悪かった。ちょっと出張が入ってね」
「そうじゃありません!」