強引社長といきなり政略結婚!?
「明日の朝には責任を持って送り届けますので、ひと晩一緒にいることをどうかお許しください」
父には見えないだろうに、朝比奈さんはその場で頭を下げた。
誠実さが垣間見えて、胸が温かくなる。
電話の向こうで父が黙り込んでしまったのか、朝比奈さんは膝の上で右手を握りしめた。
彼の緊張が伝染して、私も固唾を飲んで見守る。
しばらくそうしていると、突然、父のものではない声が漏れてきた。母だ。父はどうしたんだろう。
さすがに結婚前の娘の外泊を父親が認めるわけにはいかなかったのか。母に電話を代わったようだ。
「ありがとうございます」
ふたりのやり取りから、了承してもらったことが伝わる。
ふた言、三言、交わすと朝比奈さんはさっきよりも深く頭を下げて、切ったスマホをベッドに置いた。彼がほっとしたように顔を綻ばせる。
「汐里のご両親からオッケーをもらった。これで堂々と外泊できるぞ」
朝比奈さんは嬉しそうに私を引き寄せた。