強引社長といきなり政略結婚!?
「なんだかかわいいと思って」
「か、かわいい!?」
なにかにつけて浩輔くんをライバル視する様子が微笑ましい。
それは、朝比奈さんと一線を越えたことが、私に自信をつけさせたからなのかもしれない。
「かわいいです」
「ちょっ、汐里。撤回しろ。男がかわいいなんてシャレにならないだろ」
「きゃっ!」
朝比奈さんは再びベッドに上がり、私を押し倒した。
「そんなことを言うやつには、こうしてやる」
「――や、やめてくだ、さ……いってば……ひゃっ」
彼が私のわき腹をくすぐり始めた。
くすぐったさに体をよじりながら「降参です!」と懇願する。
「もう“かわいい”とか言わないか?」
「言いません」
「“一成”と呼べ」
駄々をこねた子供みたいだと言ったら、きっと今度は手加減なしだろう。
でも、拗ねたように言う彼が、本当に愛おしくてたまらない。
「一成さん」
私がそう呼ぶと、彼が嬉しそうに目を細める。
「それでいい」
私の額にキスを落とし、ぎゅっと抱きしめた。