強引社長といきなり政略結婚!?

「いえ。こちらこそ汐里さんには嫌な思いをさせてしまいました」


一成さんが私にチラッと視線を投げかけ、目だけで微笑む。
父は「汐里に嫌な思いを？」と不思議そうにしていた。


「それに関しましては、ご心配に及びません」


すかさず一成さんが付け加える。


「ふたりの気持ちはひとつですので」


一成さんが返事を促すような視線を送ってよこしたので、私は父たちに向かって大きくうなずいた。


「朝比奈さんったら、本当に頼もしい。汐里は幸せね、こんな素敵な方と出会えて」


母がしみじみと言う。
父も隣で首を縦に振っていた。
ストレートに言われると、なんだかくすぐったい。


「一成くん、専務のことは私にも考えがあるから、ちょっと時間をもらえないかな」