強引社長といきなり政略結婚!?

「会長は、まったく話にならないと憂いておりました」


返す言葉に窮した。
私の宣言に会長さんが黙ったままだったのは、話の通じない私への無言の圧力だったみたいだ。


「あの会長によく言い返せたものだと感心してしまいましたよ」


日下部さんは、真顔を少し崩した。
褒め言葉なのか嫌味なのか、いまいち読み取れない。


「私は思っていることを素直に言っただけです」


日下部さんは鼻から小さく息を漏らした。
嘲笑されたみたいだ。


「おじい様に木陰のことを話したのは、日下部さんですか?」

「はい。あなたにお会いしたいとのことだったので、手っ取り早く会える場所をお教えしました。あなたをわざわざお呼び立てすることでもないですし」


呼び出されるのも怖いけれど、店への急襲もかなりのインパクトだった。

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