強引社長といきなり政略結婚!?
それでもやっぱり、私が原因でこうなってしまったのかと思うと素直に喜べることでもなくて、つい気持ちが沈んでしまう。
「おい、汐里。そこは暗い顔をするところじゃないぞ」
父にすかさず突っ込まれた。
「父さんはな、これで肩の荷がやっと下りたとホッとしてるんだから」
父が腕を上げて肩をぐるぐると回す。
「……本当に?」
心では寂しいと思っているんじゃないかと聞き返す。
「本当さ。神にだって誓うよ。もともと経営者の気質じゃないのは、汐里だって知ってるだろう?」
そう聞かれて、さすがに『うん』とうなずくわけにはいかない。父親をこき下ろすことはしたくないから。
「とにかく、汐里は余計な心配をするな。親会社になるコンラッド開発の社長である一成くんの目もあるし、孝志も好き放題にはできない」