強引社長といきなり政略結婚!?
◇◇◇
それから一週間が瞬く間に過ぎていき、私は今、一成さんの自宅へ来ている。
――おじい様に会うために。
通されたリビングは、クラシカルなソファが大理石のテーブルを挟んで三つ並び、ダークブラウンの色合いが重厚感を醸し出している。三十畳くらいのリビングの壁面にはガラス製の大きな棚があり、ウイスキーらしきボトルが数十本並んでいた。
窓から差し込む午後の光は麗らかなのに、この部屋の空気はことごとく重い。
背筋をピンと伸ばしたまま、ソファに浅く腰を掛ける。膝に手を揃えて置き、私は何度も深呼吸を繰り返した。
「そんなに緊張しなくてもいいから」
一成さんはにこやかに言うけれど、これが緊張せずにいられようか。
彼が握ってくれた手を握り返すと、力が入りすぎてしまい、一成さんは「イテッ」と苦笑いだった。
少しすると、リビングの二枚ドアが一気に開け放たれた。おじい様の登場だ。
視線を外して俯くわけにはいかない。気持ちを強く持ち、おじい様をじっと見つめた。
予想どおりというか、おじい様の表情はかなり険しい。私に会うのが相当嫌なのか、顔色も優れないように見える。
私たちの向かいのソファに、唸り声のようなものを上げながら座った。