強引社長といきなり政略結婚!?

「ほ、本日はお時間をお取りいただきありがとうございます」


一度立ち上がって頭を下げたものの、返事はひと言もない。
一成さんに促され、仕方なしにおずおずと座った。


「会長、今日、お時間を割いていただいたのはほかでもありません」


一成さんが口を開く。


「こちらにいる藤沢汐里さんと結婚しようと思っています」

「勝手に決めるなと言ったはずじゃ」


おじい様の声が少し荒くなったので、私の肩がビクンと弾んでしまった。


「一成の嫁は綾香さん。そう決めておる」


おじい様が私をじっと見据えて言い放つ。『諦めろ』という意味合いを目線に乗せていることは、ひしひしと伝わってきた。


「自分の妻は自分で決めます」


一成さんも負けずに言い返す。

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